そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2015

―堆積した歴史の層を剥ぐ―

平成27年9月12日(土)~10月25日(日)※土・日・祝日のみ18日間開催

 

五千万年にわたる自然の営みの上に、
百年に及ぶ石炭生産の痕跡があり、
わずか三十年で終わった観光開発の結末がある。

 

 夕張市北部にある石炭博物館。 その下には、約5,000 万年前( 新生代古第三紀) にできた国内有数の優良な石炭層があり、厚さ24 尺( 約7.2 m) にもおよぶ石炭大露頭が地上に姿を現している。その石炭は、ライマンの弟子である坂市太郎によって1888 (明治21) 年に発見された。以後、1977 ( 昭和52) 年に北炭夕張新第二炭鉱が閉山するまで約90 年にわたって、夕張炭鉱はわが国を代表する炭鉱として操業し、石炭博物館周辺には石炭生産の中枢的施設が数多く 置かれていた。

 1978 ( 昭和53) 年に石炭の歴史村の建設が開始された。炭鉱の記憶は破却され、それに塗り重ねるようにレジャーランドが建設された。しかし、2007( 平成19) 年に夕張市が財政再建団体に指定されたのを機に、歴史的文脈を無視した開発は頓挫した。かつてあった観覧車やジェットコースターは撤去されたが、多くの娯楽施設の残骸が今も残っている。

 5,000万年にわたる自然の営みの上に、100年に及ぶ石炭生産の痕跡があり、わずか30年で終わった観光開発の結末がある。今回のプロジェクトは、 このように石炭博物館の周辺に堆積している 《沈殿して冷たくなっている》様々なレイヤー( 歴史的な層) を、一枚一枚剥ぐことによって、今後 を生きる私たちに示唆を与える素材を掘り起こすという《活性のための熱い取り組み》を促す契機としたい。

 

開催概要