作品紹介〜「でんしゃ。でんしゃで、んしゃ。」「黒い穴~”炭鉱の記憶”を未来へ~」「階段」〜

本日の作品紹介は「でんしゃ。でんしゃで、んしゃ。」「黒い穴~”炭鉱の記憶”を未来へ~」「階段」の三作品です。

「でんしゃ。でんしゃで、んしゃ。」。札幌市立大学の前田清也による作品です。 ホッパーの最も西端にあるこの作品は、小さな電車のおもちゃがぐるぐると走り回っており、特にお子さんの目を引く作品です。

この作品の本質はタイトルに隠れています。「でんしゃ でんしゃ でんしゃ」という言葉の間に「、」と「。」がはさまれることで、ただの「でんしゃ」繰り返しがなんとなく文章に見えてきませんか? この作品でも線路が張り巡らされ電車が走っている合間合間に、「、」や「。」の如く木の板やブルーシートが置いてあります。これらのものはホッパー内に元々あったものたちです。しかし、そこを電車が走ることで、木の板が橋に、ブルーシートが山や谷に見えてきます。 このようにそのまま放置されていたようなものでも、別の視点を加えることで新しい価値が発見できる、ということを教えてくれる作品です。

 

「黒い穴~”炭鉱の記憶”を未来へ~」は札幌地域デザイン研究会、SARDによる作品です。この大きな穴の直径は6.4m。この数字は住友奔別立坑の内径と同じです。この立坑の穴を過去には鉱員と石炭を運搬できるケージが2つ通っていたそうです。この穴は、SARDさんがなんと手掘りで!彫ったものです。

そして敷き詰めてあるのは奔別周辺で「露天掘り」という手法で掘られている本物の石炭です。そして過去の記憶を表すDVDやCD、そして過去でも現在でもおそらく未来でも変わらない空を映し出す鏡。この鏡の中には一つだけ立坑を映し出すものがあります。

更に未来へと掘り進んでいくロードヘッダー。日本語では自由断面掘削機と言います。炭鉱で採掘の為に使われていた機械です。 その周りの折り鶴たちは危険な炭鉱の現場での安全を祈願するために折られていた千羽鶴をモチーフにしています。 会期が進むにつれてくたっとなっていく鶴の様子は炭鉱産業の衰退を示しているようでもあります。

そして当プロジェクト、最後の3作品の作品を見るために進むは「階段」。こちらもSARDの酒井裕司さんによるデザインです。 出雲大社の本殿に上る階段をイメージしています。また味のある施設群の雰囲気を壊さないために、あえて少し使用感のあり、またバラバラの色合いの要素を使って階段がつくられています。 明日はこの階段の先にある最後の三作品を紹介いたします。

 

日付が変わりまして、10月25日は奔別炭鉱の閉山した日。完成当時は「百年は採掘できる」と言われたにも関わらず、悲惨な爆発事故により1971年、つまり41年前の今日閉山いたしました。 追悼の気持ちを込めて残り少ないプロジェクトの公開にも挑んでいきたいと思います。

札幌市立大学 山本倫子