終わらない話 育てる作品その1

写真①

沢山のご来場ありがとうございました。地域の皆様や関係の皆様に支えられてようやく完了する事が出来ました。アートプロデューサーの上遠野敏です。アートは人と人をつなぎ、想いをつなぐ最も平和な手段なのだとつくづく思います。炭鉱遺産を舞台にした作品群は皆様の心にどのように映ったことでしょう。12月2日(日)から年末まで岩見沢のマネジメントセンターで「奔別

写真②

アートプロジェクト報告展」が開催されます。それまでに、終わらない話やこぼれ話などをブログに掲載しますので引き続きお愛読をお願いします。
今日は作品自体が育っていくお話をしましょう。ホッパー入口付近にあった「モス地蔵」は札幌軟石を上遠野自ら彫刻したものです。炭鉱に関わる人々の敬意と鎮魂、本プロジェクトの安全も祈念されています。恵庭岳の火山灰が堆積して出来た石で、

写真③

部分的に灰に飲み込まれた木や空洞も混じっています。札幌市立大学付近で採掘されて開拓時代の主要な建物(札幌市資料館など)や礎石として使われています。この辺の地名を石山という所以です。石材として加工し易く素朴な味がある石です。前からここにあったようだと皆様に感想を寄せていただきました。実は苔を生やして日々進化している作品だからなのです。

 

写真④

写真⑤

写真①は芸術の森美術館「虚実皮膜」展(2003年)での初お披露目の六地蔵です。むつ市や津軽の金木をモチーフに人とあの世をつなぐ深い情愛を入口に地獄めぐりの作品群を作りました。お地蔵さんは六つの道へ転生するする人々を救済するために六体の地蔵で表されます。その後、赤平アートプロジェクト(2004年)で抗口浴場に鎮魂、安全祈願のため展示しました。写真②はFIX MAK MIX ! 2(2008年)、ギャラリー門馬での展示風景です。創設者の門馬よ宇子さんのギャラリーの庭には藻岩山の小さな川が流れる美しい渓谷があります。2002年の開廊企画展の時に繭の毛羽を使った移動式組立茶室を渓谷に設置したことから思い立ち、お地蔵さんに苔をはやして現代美術の殿堂「ポンピドゥー・センター」に展示しようと夢想しました(実際には検疫などで無理なのでしょうが)。現オーナーで娘さんの大井恵子さんに相談して快諾を得たのが苔を生すことの始まりです。

 

写真⑦

写真⑥

写真③が雪解けを待って2009年5月連休明けに設置したものです。初々しくも若干の固さを感じるお姿です。写真④が2009年10月の半年後の姿です。蓮弁や足元は緑に、頭部や肩口は薄らと。写真⑤は2年後の2011年5月後半の緑の極楽浄土と思える景色に映えるお地蔵様です。大井恵子さんが手塩にかけて水やりや世話をしていいただいた結晶です。そのようなお慈悲をいただきお地蔵様は苔をすくすく生す事が出来ました。

 

写真⑧

写真⑥は2011年7月〜8月上遠野敏個展「ネ・申・イ・ム・光景」で苔生すお地蔵さんの初のお披露目でした。日本の自然の中のある神性や仏性を顕在化した写真作品に色を添えました。写真⑦が本プロジェクトのお地蔵さまでした。常に進化して育っている途上を見ていただきました。写真⑧役目を終えて帰って来たお地蔵様は大学の日の当たらない苔生す環境で一休みです。今シーズンはここで学生を見守りがなら「ポンピドゥー・センター」まで苔を生したいと思います。夢想も成長する作品でした。

 

本日、赤坂プリンスホテル(通称:赤プリ)の解体の報がありました。炭鉱だけにあらず栄光と衰退のくり返しが歴史なのだなと。

上遠野敏(本アートプロジェクト アートプロデューサー)