光をためて

太陽と月が重なる皆既日食。地球から見ると月と太陽の大きさがぴったりリンクする距離感が絶妙ですね。神の配剤なのでしょうか。いつも思うことは、川が流れ、緑にあふれ、生命体がうごめくこの星は、宇宙の中では奇跡なのだと。地球は太陽光によって生命体を支えるゆりかごなのでしょう。空が青いのは光が小さな粒子に散乱されて青い光に見えるようです。晴れた日の北海道の青空はことのほか奇麗です。空気が澄んでいる証拠です。

今回は倉本祥平さんの「陽光のメディウム」をさらに詳しく紹介します。彼は札幌市立大学美術部ノメノンの第1期生で「幌内・布引アートプロジェクト」の主力メンバーでもありました。現在、札幌市立大学で社会人研究生として研究課題に取り組んでいます。

「陽光のメディウム」は多面体のクリスタルボールによるプリズム現象によって虹色を発生させる光の彫刻ですが、良く晴れた日にしかご覧いただけない作品です。曇天や雨の日が多かった会期中、残念ながら見ることができなかった皆様にたっぷりと写真を掲載しましたのでお楽しみください。奇麗ですね。心が洗われます。

光は波であり、可視光線は波長によって目に見える色が違います。波長が長い順から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と短くなっていきます。雨上がりの虹は水滴がプリズムの役割をして太陽の波長を可視化させています。ホッパー外壁の窓のスリットから差しこんだ光はクリスタルボールによるプリズム現象によって虹色の光となり、奥の壁や天井、床などに所々、虹色の光を差して空間を拡張する広がりをみせてくれる作品となりました。

虹色の光を捕まえようとするお子様もいたくらいです。

足利義政の茶道師で禅の範禅を取り入れた侘び茶の祖と言われる村田珠光は、当時全盛の唐物中心のなかで国焼きの素朴さと侘びを取りいれました。「月も雲間のなきはいやに候」と不完全の美が侘びにかなうと説きました。日本人は満月の十五夜も好きですが、ちょっと欠けた十三夜を特に重んじておりました。彼の作品も太陽と契りを結んだ時しか見ることができない一期一会の作品なのです。

上遠野敏(アートプロデューサー)