雨の降る星で

ドイツ表現主義映画の最高傑作「メトロポリス」の中に上流階級の子弟が遊ぶ歓楽街に「YOSHIWARA」があります。1930年代当時、江戸時代から続く遊郭「吉原」が世界に轟いていたのが驚きです。ドイツ・ハンブルクにはレーパーバーンという「世界で最も罪深い1マイル」言われる歓楽街があるのに、わざわざ異国の地名を出すことによってエキゾチックなイマジネーションを増幅させようとしたのでしょうか。それにしてもこの映画の特撮技術はアートを超えています。

今日の作品は高橋喜代史さんのタイトル「点線文字」の紹介です。作品はホッパー前に「PON!」と小石で文字が並べられています。PONが外国語にないのかと検索すると「PON and ZI」というアニメで仙台名菓「萩の月」のような顔のキャラクターが出てきました。某ドーナツの「pon de lion」、日テレの番組「PON」、きゃりーぱみゅぱみゅの「PONPONPON」などが出てきました。ポルトガル語で「ねこの目を洗う」などの語彙がでてくるかと期待しまたが、日本の擬音「ぽん」のようです。擬音の作品と言えば高橋さん。今回のホッパーサウンドの「ガラガラガラ・・・」や「バーン」、「ドーン」などで痛快な作品を世に送り出しています。元漫画家で賞をもらったほどの逸材です。村上隆さんもアニメやマンガ家にあこがれたが、才能がないので絵描きになったと謙遜して言っていましたが、高橋さんもマンガで嘱望された才能を惜しげなくアートに注いでいます。そう「PON!」は奔別(ぽんべつ)の「ポン」にかけています。アイヌ語の「ポンペッ」(小さな川)が由来です。立坑、ホッパーの一帯は湿地帯でした。そのすぐ下に現在の市街地を取り巻くように山沿いに蛇行して幾春別川が流れていました。水路を切り替えるさえの明治22年に、洪水によって幾春別川が現在のように直線につながり、その段差が人口の魚染めの滝です。

水が所以のこの場所に設営した「PON!」は雨の降る星で様々な景色を映し出しました。

長谷川等伯の松林図屏風のように松を描いて松を表しているのではなく、冷え枯れた冬の凛とした空気や朝靄の気配を描いたと言われています。毎週、定点で観測すると見えてくる作品です。景色を映し出す作品を写真でご覧下さい。

上遠野敏(アートプロデューサー)